親族と親戚の違いとは？意外と知らない使い分け

「親族」と「親戚」、どちらも家族に関係のある言葉ですが、明確な違いがあるのをご存じでしょうか？
日常会話では曖昧に使われがちなこの2語ですが、実は法律や場面によって正確な使い分けが求められることもあります。

結論から言えば、「親族」は法律で定められた関係を指すのに対し、「親戚」はもっと広い感覚的な人間関係を指します。

この記事では、「親族」と「親戚」の定義の違い、法律上の範囲、日常での使い分け方、さらにはよくある誤用例などを具体的に解説していきます。

親族と親戚の違い

「親族」とは法律上の定義がある言葉

「親族」は、民法で明確に定義されている法的な概念です。

民法725条では「六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」が親族とされ、相続や戸籍などの手続きで重要な役割を果たします。

「親戚」は日常会話で使われる広い概念

一方、「親戚」は法律用語ではなく、日常会話でよく使われる表現です。

血縁・婚姻関係にある人をざっくりとひとまとめにして「親戚」と呼ぶことが多く、法的な線引きはありません。

範囲の違い：親族は法的、親戚は感覚的

つまり、「親族」は具体的な範囲が定められた法的用語、「親戚」は人との関わりや感覚で広く捉えられる言葉です。

この違いを理解しておくと、公的な手続きなどでも正確に使い分けることができます。

親族の範囲と分類

親等による親族関係

親族関係は「親等（しんとう）」で表され、法律的な手続きにおいて非常に重要な指標となります。

この「親等」とは、血縁や婚姻関係の遠さ・近さを数字で表す単位で、「どれだけ近い関係か」を段階的に表したものです。

親等の基本ルール

親等は、自分を基点にして、1人分のつながりを「1親等」と数えていきます。

• 自分 → 親（1段階）＝1親等

• 自分 → 親 → 祖父母（2段階）＝2親等

• 自分 → 子 → 孫（2段階）＝2親等

• 自分 → 兄弟姉妹（親を経由して）＝2親等

つまり、「1人経由するごとに+1親等」で数えると考えると分かりやすいです。

親等の具体例

直系と傍系の違い

• 直系：自分から見て上下の関係にある人（祖父母・親・子・孫など）を指します。
• 傍系：兄弟姉妹やおじおば、いとこなど横の関係を指します。

どちらも親族に含まれますが、法律上の取り扱いは異なる場合があります。

血族と姻族の違い

• 血族：血のつながりのある親族（親・子など）
• 姻族：婚姻によって生じた親族（配偶者の親など）

法律上、血族と姻族の関係も明確に区別されており、相続や扶養義務にも影響を与えます。

親戚の使い方と具体例

「親戚づきあい」の指す範囲

「親戚づきあい」という言葉は、親族以外の人にも使われることがあります。

たとえば、配偶者のいとこや再婚相手の子どもなど、法律上の「親族」には含まれなくても、親戚として認識されているケースが多いです。

親族ではないけど親戚と感じる関係

血縁関係や婚姻関係がなくても、古くからの家付き合いや育ての親のような存在を「親戚」と呼ぶこともあります。

このように、「親戚」は人間関係や地域文化により柔軟に使われています。

地域差や文化差による親戚の概念の違い

地域によっては遠い関係でも親戚として扱うところもあります。

たとえば、田舎では村単位の結びつきが強く、「はとこ」や「いとこの配偶者」まで親戚と見なすこともあります。

混同しやすいケースと正しい使い分け

冠婚葬祭での呼び方

結婚式や葬儀などの場面では、「親戚一同」や「親族代表」など、言葉の使い分けが求められます。

親戚＝親族と混同しがちですが、招待状や名簿などでは法的な関係に基づいた表記が適切です。

相続・戸籍での表記

相続手続きでは「親族」の範囲が重要で、誤って親戚を含めると無効になる可能性もあります。

戸籍謄本を確認し、法律に基づいた関係性を把握することが必要です。

文書・公的手続きでの正しい使い分け

行政文書では「親族」が正確な表記となります。

たとえば、医療現場や扶養控除、保険関係などでは、「親族関係を証明する書類」が求められるケースがあります。

まとめ：親族と親戚の違い【比較表】

「親族」は法律に基づいた関係であり、相続や戸籍、行政手続きなどで重要な意味を持ちます。

「親戚」はもっと広く、日常的な人間関係や文化的背景を含んだ柔らかい表現です。

この違いを知っておくことで、フォーマルな場でも適切な言葉遣いができるようになり、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

以下にまとめとして、親族と親戚の違いを表にしました。

【比較表】親族と親戚の違い